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GISパラダイム


第三回 日影図はCADではなくGISの主題である

 GISはこれまで国や自治体の「うたい文句」にとどまり、実用からは程遠いものがありました。
 実務の場では、さまざまな解析手法、処理手順が必要となり、本格的に民間で使用されるように なれば、CADや工学分野との活発な競合・相互浸透とあいまって事態は一変します。
 これまでCADの主題であると考えられてきた日影図も、GISの主題と考えるべきものです。
 日影は法的強制力を伴った、中高層建築には避けられない規制です。このためコンピュータ使用の 早い時期からCADの格好の主題として、種々のソフトウェアが作成されてきました。レイ・トレー シングの延長線上にある等時間日影図のアルゴリズムはその白眉ともいえるものでした。
 日影を、冬至における「法規制」をクリアすること、というこれまでの視点は十全とは言えず、 環境総体のパースペクティブで考える必要が起こってきています。
 日影に関して考慮すべき点を列挙してみましょう。
(1)中高層建築では建物の高さをHとして、建物の外壁面あるいは敷地境界からH/2Hの 縁線を正しく求める必要があります。この範囲の近隣住人への説明義務が規定されていることに よります。
(2)日影は経緯度のみで決まるのではなく、「地形形状」が大きく作用するもので、地形の勾配 や起伏を考える必要があります。
(3)影響日影では、年間を通じた全日照の中で、阻害される「全日影」「部分日影」の割合および 致命度合を評価する必要があります。この時、新しく建築された建物による影響日影は、既存の環境 に付加される日影で検討されるべきでしょう。
(4)等時間日影も、新しい建築の寄与分のみで考えるのではなく、既存の環境との兼ね合いで検討 されるべきでしょう。また、冬至ばかりでなく季節毎にどの時点でも計算できる必要があります。
 それぞれについてGISの観点から整理してみます。
(1)H/2Hの縁線とは前回説明した「バッファ」そのものです。2Hは通常、敷地境界からです が、Hは自治体により建物外壁からとる場合もあります。計画敷地に複数棟建築される場合には 「バッファの合成」(ポリゴンオーバレイ)が必要です。
(2)日影がCADではなくGISであるという論拠は以下によります。
 i)地理的データは本質的に絶対位置(緯度、経度が好例です)を有しており、日時を決めれば 太陽高度・方位は定まります。
 ii)地形の勾配や起伏は等高線や標高点から描出可能です。
 日影を地図上の任意の地点で、任意の日時に求められるのは、GISをおいて他にない、といい 切れます。
(3)、(4)については稿を改めて「日影分布予想図」、「等時間日影図の新しい視点」で述べる ことにします。



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